2012年 04月 23日
テルマエ・ロマエ THERMAE ROMAE
現代日本にタイムスリップした古代ローマ人の浴場設計技師ルシウスが、日本人(平たい顔族)の風呂文化に衝撃を受け、そのアイディアを持ち帰り、ローマでの浴場建設に反映させていくという物語。タイムスリップしている自覚がなく、異民族の国に空間移動したと考え、「平たい顔族」の風呂文化、高度な技術にショックを受ける様子がおもしろい。
読んでいて、私が中学生の頃に放映された「侍ニューヨークを走る」というTVドラマを思い出しました。幕末の遣米使節団の武士3人が現代アメリカにタイムスリップするという話でしたが、これも初めはタイムスリップと気づかず、異なる文化・文明にショックを受けるという展開でした。
ルシウスにとって「平たい顔族」の文化や技術との出会いは衝撃的で、世界に冠たるローマ人の誇りを傷つけるものだったでしょう。それでも、異民族の優れた部分を素直に受け入れ、敬意をもって接するところが立派です。
異なるものへの寛容と柔軟な受容によって、優れた浴場を設計していくルシウス。最近の日本では、他のアジア人を見下す排外主義的な風潮が再び強くなってきていますが、異文化・異民族への寛容、謙虚で柔軟な対応こそ、社会を成熟させ、発展させることを学ぶべきでしょう。