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「身の丈」に合った課税は?-学校施設再生計画検討専門委員会

15日夜、習志野市学校施設再生計画検討専門委員会(第4回)を傍聴しました。過去の会議録・資料等は、市役所HPに掲載されています。

習志野市学校施設再生計画検討専門委員会(市役所HP)

公共施設再生計画とセットで策定しようとしている学校施設再生計画について検討するための審議会です。その存在は、市民・保護者や教員にほとんど知られていません。私は3月議会の一般質問で取り上げましたが、理工系や経済系の専門家が中心、教育関係者は少数という構成で、「学校の適正規模」や「学校の適正配置=統廃合」を検討しています。
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第4回で配布された「習志野市学校施設再生計画策定に関する提言書(案)」は、文部科学省が検討中の「学校施設老朽化対策ビジョン(仮称)」で締めくくられています。「認定こども園」による保育所・幼稚園の統廃合に続き、小中学校の統廃合・複合化でも、習志野市を文部科学省の実験台にしようとしているのかも知れません。

提言書案では、学校の適正規模・適正配置について、次のように記載してあります。

学校教育法施行規則第41条の「小学校の学級数は、12学級以上18学級以下を標準とする」という規定、あるいは、現状の学級数を考慮し、一定の目安として、小中学校の学級数については、次の学級数を基本とすることを提案します。

また、長期間にわたり、この標準とする学級数を上回る、あるいは、下回ることが想定される場合には、適宜、規模の適正化に向けた取り組みを進めることを求めます。

〔小学校〕
⇒教育上望ましい規模は、普通学級数が12学級から24学級とすることを提案します。

〔中学校〕
⇒教育上望ましい規模は、普通学級数が18学級から24学級とすることを提案します。


理工系や経済系の専門家が中心の審議会で、なぜ、「教育上望ましい規模」を提言できるのか疑問です。

事務局の説明や質疑を傍聴して感じたのは、「幼保小関連、小中一貫校、中高一貫校など、多様な教育環境の可能性」など、項目だけで文章の記載の無い部分が多いことです。公開されている会議録をみる限り、各委員からの提案で入れたとは考えにくい項目・文章もあり、事務局(資産管理室)で書いた提言書案を委員会で修正していくというやり方のようです。

今回で最終回であり、3月最終週に個々の委員と事務局とで、追加する文章を調整することになりました。そのようなやり方では、決定稿は事務局と委員長に一任となりかねません。

学校施設再生計画検討専門委員会の委員長を務めている人は、習志野市の経営改革懇話会会長、公共施設再生計画検討専門協議会委員長、庁舎建設事業手法等検討専門協議会委員長といった重要な審議会の長を兼ねています。国の各種審議会委員も務めており、全国的な著名人です。

委員長が普段から主張している「維持補修・更新投資重視」は、私も同感です。しかし、この方の著書・小論を読んで極めて違和感があるのが、「背伸びから身の丈へ」を市民に求める主張です。

委員会で「小中学校の統廃合はなるべく避けたい」という旨の主張をする委員がいても、委員長の主張は「学校の数を減らすのは必須。その上で複合化を考えなくてはならない」というものでした。

また、委員長は「学校の数を維持するなら、増税も考えなければならない」と述べ、市民への所得課税の強化、または利用料負担の強化を例として挙げました。

このような主張について、私には、財政学的視点を軽視した「脅し文句」のように思えてなりません。財政の三機能(マスグレイヴ)のうち、特に「所得再分配機能」が欠落しています。これを抜きに「身の丈」を論じると、「貧乏人は麦を食え」という結論になりかねません。

安倍政権が「国土強靭化」と称して、不要不急の200兆円もの大型公共事業のバラマキを進める政策をとっていることは批判しようとしません。

国の審議会委員を務めてきたのであれば、無駄な大型開発などへの支出増大、大企業・大資産家への優遇税制・減税政策による減収にこそメスを入れるべきです。生活関連のインフラ整備の負担ばかりを問題視するようでは、財界・官僚、現政権に都合のよい議論です。

福祉・教育関連の国庫補助等の削減によって苦しめられる自治体財政という「小さなパイ」を、どのように切り分けるのかという視野の狭い議論に終始するのはいただけません。

習志野市の一般市民が特別に贅沢な生活をしているとは思えません。庶民に「身の丈」に合った福祉・教育事業の縮小を求めるのではなく、(ちょっと不正確な言い回しですが)大企業・大資産家に「身の丈」に合った税負担を求めることこそ、財政学的な考え方ではないでしょうか。

〔参考〕
「学校施設老朽化対策ビジョン(仮称)」の検討(文科省HP)

〔追記〕「聖域ある」財政改革
習志野市の経営改革懇話会では、JR津田沼駅南口土地区画整理組合への補助金、周辺開発・土地取得を含む財政負担は「聖域」扱いでした。補助金等が多過ぎたことは当初からわかっていたことであり、「将来の財源基地になる」という弁護は成り立ちません。

八ッ場ダム建設への習志野市の出資継続も問題にしませんでした。政財官のトライアングルによって押し進められる巨大な無駄遣いにはモノが言えないのに、市民には「学校の数を減らすのは必須」という「結論」を押しつけるのは筋違いです。
by takashi_tanioka | 2013-03-16 12:30 | 公共施設再生 | Comments(0)

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