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監視・密告の奨励-生活保護バッシングの学習会

14日、生活と健康を守る会習志野市準備会千葉県生活と健康を守る会連合会の共催で、緊急学習会「生活保護バッシングを考える-監視・密告制度が習志野市に?」を開催しました。
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習志野市の3月議会において、兵庫県小野市で制定された「福祉給付制度適正化条例」を習志野市でも制定しようという陳情が提出され、否決されたものの、多くの議員が賛成しました。

同じ陳情者が6月議会において、「生活保護法改正法の厳格なる運用などを求める陳情」を12件も提出。監視・密告を奨励する「生活保護ホットライン」の設置などを要望するとともに、陳情趣旨に共通して「第一優先で調べ上げるのは、外人及び精神障害者(思わしき者を含む)」とあるなど、差別的な内容です。

生活と健康を守る会としては、同様の陳情へ賛成する議員が増えていることを懸念して「習志野市議会に提出された生活保護に関する陳情についての見解」を発表し、陳情の否決を要請。そして、緊急学習会を開催することになりました。

講師は、千葉県生活と健康を守る会連合会会長の妹尾七重さん。様々な人の生活相談にのってきた経験豊かな方で、千葉民報に「生きる力の輪」を連載しています。

これまでも同様の陳情が何回も出されてきました。この背景にある生活保護バッシングの問題点も含め、生活保護法(改悪後も含む)に反する内容、受給者に対する差別や偏見を助長する危険な内容について話してもらいました。

妹尾さんの話を聴いて、最も大きな問題と私が思ったのは、憲法13条(すべて国民は、個人として尊重される)の視点の欠如。生活保護等の受給者を対等・平等な人間(個人)と見ないばかりか、外国人や障がい者も対等・平等の人間と見ていません。

〔参考〕
流山市で交流と学習-生活と健康を守る会準備会(4月25日)

差別的な陳情が繰り返し提出されていることや、3月議会で多くの議員が賛成したことへは、他の市民団体からも批判の声があがっています。

6月議会への集中的トンデモ内容の陳情〔習志野市民フォーラムブログ〕

6月議会への集中的トンデモ内容の陳情(2)〔習志野市民フォーラムブログ〕




千葉県生活と健康を守る会連合会の見解

習志野市議会に提出された生活保護に関する陳情についての見解(2014年6月3日)

1.2014年5月30日付で提出された陳情は、数年前より継続的に同一人物より生活保護行政に対する個人的見解を含むものですが、現状、住民が求める生活保護への期待や国・各福祉事務所が取組んでいる施策との間に大きな食い違いがあります。こうした内容では保護運用が阻害されるものであり、否決されるべきと考えます。

2.陳情に「受給者全員に対し、飲酒及び喫煙を金輪際止めるよう習志野市として強くご指導戴きたい」、「ボートピア、パチンコ屋、雀荘など賭博場等への出入りと宝くじ等の購入を禁止してください」と記載がありますが、法律的に不可能な事柄です。

3.就労等または受診等について、陳情者の求める内容はすでに福祉事務所で努力されているものですが、指示・命令についても受託事務の要綱にそって行うものです。

4.陳情は、今次の法改正では「外人及び精神障害者の多くは知識や理解力が足りず、または自らを見失い、望まずして違法行為を犯してしまう可能性の高い属性であり・・」などと優先して対応すべきとし、そのため早急に「生活保護ホットライン」を設け、広く市民から情報提供を受け、行政が迅速に適切な支援・指導・要請ができるようとの主張もあります。

5.陳情者は先の議会あてには、兵庫県小野市が2013年4月より施行した福祉給付制度適正化条例制定の検討を求めています。この内容は、市民からの通報を呼び掛けると言った点で同一で、様々な批判が出されているところです。ホットラインも同一線上のものです。

6.当連合会が着目する点は、以下の通りです。

ア.「市民の通報」には、誤解や曲解等によることで「被害者を生みだしかねない」リスクがあること。なんら補償無く泣き寝入りとなる可能性があり、放置できません。通報者が故意に行うことに、罰則ない通報では「野放し状態」となりかねません。

イ.通報があったことをうかがい知った場合、「誰かが、生活保護を利用していることを教えている」と考えて福祉事務所、民生委員等が責任を追及されることになり、果たすべき自立助長のための支援が閉ざされる可能性があります。また、こうした出来事が拡がると「知られるのが嫌なので、家庭訪問しないでください」「保護費を振込にしてください」「手紙を郵送しないでください」など、信頼関係自体が損なわれる危険性が生じます。

ウ.こうした市役所主導のキャンペーン方式では、何より「市役所の能力の限界」表明に近いもので、市民の信頼が増すどころかより信頼されない保護行政と言われかねません。こうした動きが広がれば、生活保護を利用しようとする住民の足が立ち止まってしまい必要な保護を利用できにくくするだけで、生活困窮の固定化や孤立・孤独死や自殺等の事故発生につながりかねません。

エ.個人のモラル問題を、条例化や通報キャンペーンで市民を巻き込んで行う方法というのは、市民社会に相互監視、生きづらい隣人関係を作るだけの非生産的な手法と言わざるを得ず容認できるものではありません。

以上ですが、この見解だけではわかりにくいかも知れません。見解と合わせて、陳情者が求める小野市条例に対し、兵庫県弁護士会が出した会長声明も配布しているので、そちらも参照してください。

福祉給付適正化条例案に反対する会長声明(兵庫県弁護士会HP)
by takashi_tanioka | 2014-06-14 23:30 | 憲法・人権・反戦平和 | Comments(0)

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