谷岡隆(たにおかたかし) 習志野市議会議員

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習志野市における条件付採用職員の解雇問題・・・宮本市長の「裁量権の濫用」

c0236527_23301502.jpg2015年6月に採用された習志野市職員が、条件付採用(試用期間)の終了時に「能力が採用基準に達しなかった」ことを理由に分限免職(解雇)になりました。

現在、免職された職員が原告となり、習志野市(被告)と裁判で争っています。7日午後、千葉地方裁判所における第3回口頭弁論を傍聴し、その後の報告集会で弁護団等の話を聴きました。

日本共産党(習志野市議団)は、昨年の6月議会の一般質問(谷岡議員)で、安易な免職の問題点を追及しました。

今年の3月議会では、「宮本泰介市長が改善可能性を十分追求せずに分限免職を決定したのは、裁量権の濫用(解雇権の濫用)である」と指摘しました。

① 職務遂行能力の評価と改善可能性の問題

晴山一穂・専修大学教授(行政法)は、「新基本法コンメンタール・地方公務員法」(日本評論社)で、次のように説明しています。(下線は谷岡)

任命権者は、それぞれの職種や職務内容に見合った具体的・客観的基準に基づいて、採用段階の能力の実証とは相反して、実際の職務遂行における勤務実績が著しく不良であって、かつ、将来とも研修・指導等によって改善することが明らかに不可能であるような場合に限って分限免職することができると解すべきであろう。

このように、地方自治体における条件付採用職員の分限免職(解雇)には、2つの要件が必要とされます。

ところが、宮本市長は、6か月の条件付採用期間の間、配置換えをして能力に合った仕事を探したり、評価者を変えて評価し直したりしませんでした。3か月の期間延長後も、1回しか配置換えや評価者変更をせず、「改善不可能」と決めつけました。

改善可能性を追求する努力が不十分なまま、宮本市長が分限免職を決定したのは不当です。

② 身分保障が不十分な「条件付採用」の問題

地方公務員法における条件付採用職員や臨時的任用職員の身分保障に問題があることが、行政法研究や労働運動の場で指摘されてます。

日本共産党は、昨年の9月議会の一般質問(谷岡議員)で、習志野市が身分保障に関する条例等を整備していないことを追及しました。

分限処分の慎重な対応を定めた条例や指針をつくってこなかっただけでなく、今回の分限免職(解雇)では、条件付採用期間(6か月)の満了日に延長を通告するという問題ある対応をしました。

その後、分限処分の警告書を出さず、本人の弁明の機会も保証しないまま、延長期間の終了直前に「免職」を通告しました。処分事由説明書を交付せず、勤務実績報告書を本人にも非開示にしました。

このほか、他会派の議員からも問題点が指摘されています。新社会党の一般質問(宮内議員)により、習志野市側の労働基準法違反も明らかになりました。

③ 評価基準があやふやな「勤務実績報告書」

日本共産党は2月、他の自治体の「条件付き採用解除に対する所見に係る様式(評価表)」を取り寄せ、独自の調査をしました。

近隣の千葉市、船橋市、八千代市のほか、市原市、松戸市、浦安市、千葉県に資料を要求し、八千代市と松戸市を除く5自治体から資料が届きました。

習志野市を含む6自治体を比較したところ、習志野市の「勤務実績報告書」の17の評価項目では、条件付採用職員の客観的な評価ができないことがわかってきました。

まず、各評価項目の評価基準がわかりません。評価項目すべてが5段階評価になっていますが、どう配点すれば100点になるのかわかりません。100点満点で「60点」を「条件付解除(正式採用)」の基準にする自治体は、習志野市だけでした。「60点」の根拠は不明です。

④ 「健康度」は勤務実績の評価項目として適切か?

習志野市の「勤務実績報告書」で、特に気になったのが、職員の「健康度」を点数化して評価項目に入れていることです。「病身である」「あまり健康でない」「大体健康である」「健康である」「極めて健康である」の5段階評価です。6自治体のなかでは、習志野市だけでした。

「健康度」を採点して優劣をつけるのは、医療等の専門知識がない管理職(所属長)です。その「健康度」の優劣が、職務遂行能力や適格性に影響を与えるものなのかどうか、判断できるのでしょうか。

このようなやり方では、採用前後に何らかの理由で発病したり、見た目ではわからない障がいやメンタルヘルスなどによる不調がわかったりした場合、勤務実績が低く評価されてしまい、分限免職(解雇)につながりかねません。それが本人の落ち度なのかどうかもわかりません。

習志野市以外で「健康」に関連する記入欄があったのは、千葉県と千葉市の2自治体。千葉県の様式(評価表)には、「療養休暇」の取得状況の記入欄があります。千葉市の様式には、勤務実績とは別に「健康状態」の記入欄があり、「健康である」「特に病気はないが体力的に弱い」「病気その他身体上障害があり仕事が制限される」から選択するようになっています。いずれも、優劣を採点するものではありません。

インターネットで検索してみると、今回の調査対象にした自治体以外で、評価表の様式が例規集に掲載されている例を見つけることができます。職務適格性の評価項目に「健康」を入れ、「病気で休むことなく健康であったか(病欠の多少)」で評価する自治体がいくつかありました。これと比べても、習志野市の「健康度」の優劣の採点は問題があると言えます。

⑤ 根拠を示さず、評価者1名で各項目を採点

資料が届いた5自治体の様式(評価表)をみると、千葉市は2名の評価者による二重チェックで書き込む様式になっていました。船橋市と市川市も2名が書き込む様式、市原市は4名が書き込む様式となっていました。

浦安市は1名で書き込む様式でしたが、項目ごとに「C評価とした場合は、必ずその根拠となる事象等を記入してください」となっていました。千葉県も1名で書き込む様式でしたが、「多少の問題がある」と「問題がある」を選択した場合は「任意用紙を提出してください」となっていました。

このように、習志野市以外の5自治体では、条件付採用職員を慎重に評価しています。

習志野市は、評価者1名で採点しており、点数の根拠等の記載欄はありません。このようなやり方では、慎重で客観的な評価はできません。

また、宮本市長は「改善可能性も考慮したうえで採点している」と答弁しましたが、「改善可能性」を点数化するのも無理があります。

⑥ あやふやで不明瞭な評価をもとにした処分は問題

今回の習志野市職員の「勤務実績報告書」の各評価項目の点数が、裁判所にやっと提出されました。ただし、傍聴者には、合計点以外は公表されていないので、各項目(「健康度」など)の点数はわかりません。

原告・弁護団が、今後の公判で、どの部分を争点にするのかはわかりませんが、習志野市における「勤務実績報告書」の採点に大きな問題があるのは、他の自治体との比較でも明らかです。人事労務管理に関する遅れた体質があるのかもしれません。

あやふやで不明瞭な評価をもとに、今回の分限免職(解雇)は決定されていました。「将来とも研修・指導等によって改善することが明らかに不可能である」ことも証明されていません。

このような手続きによる安易な処分を認めてしまっては、当該職員だけでなく、他の職員の権利も脅かされることになります。





昨年の6月議会の一般質問

c0236527_07372.jpg昨年の6月議会における日本共産党の一般質問(谷岡議員)では、分限免職に至るまでに、段階を踏んだ対応や改善可能性の追求ができていなかったことを明らかにしました。

習志野市議会会議録にすでに載っている内容ですが、ポイントをまとめてブログにも掲載します。詳しくは、会議録をご覧ください。

① 習志野市には「条件付採用制度の分限の定めの条例」がない。地方自治法の条件付採用制度の趣旨に即した条例を定めるべきというのが司法界の考え方である。

② 人事院や他の自治体では、規則や指針において分限処分の手続きの詳細を規定し、慎重に対応している例がある。規則や指針すらない習志野市の現状は問題である。

③ 他の自治体では、勤務状況の改善を求める警告書を任命権者(市長)が本人にあらかじめ交付する例がある。改善が必要な点を具体的に本人に知らせ、改善を促すやり方である。このようなシステムが習志野市には無く、市長による改善可能性の追求が不十分であった。

④ 他の自治体では、本人が任命権者(市長)に直接弁明する機会を保障する例がある。このようなシステムが習志野市には無く、今回のように本人の反省文すら受けつけない市長の姿勢は問題である。

⑤ 条件付採用期間(6か月)において、配置換えをして能力にあった仕事を探したり、評価者を変えて評価し直したりしなかった。

⑥ 条件付採用期間(6か月)の延長を、その期間の満了日に本人に伝えている。このようなやり方は、近年の裁判例では「無効」とされている。

⑦ 条件付採用職員に「処分事由説明書」を交付する自治体もある。習志野市は交付していないが、きちんと交付して本人に処分事由を説明すべきである。

⑧ 免職の根拠となっている「勤務実績報告書」の評価について、本人に開示していない。国家公務員の場合、人事院が本人開示を指示している。習志野市の非開示は不当である。

by takashi_tanioka | 2017-04-07 23:30 | 議員活動 | Comments(0)

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