5月21日のNHKスペシャルで「発達障害~解明される未知の世界~」が放送されました。習志野市役所の職員研修(特に管理職)でも活用してもらいたい内容でした。
生放送のため、再放送があるかわかりません。私は録画で翌日視ました。詳しくは、番組ウェブページをご覧ください。→
こちら
イラスト入りの説明です。著作権の関係があるので転載しません。直接ご覧ください。
発達障がいの理解を深めるうえで良い番組と思いました。特に良かったのが、スタジオに登場した人達全員が「大人」だったことです。
予告編などでは子どもが登場していましたが、番組で発言したのは「大人」の当事者ばかりでした。現役のサラリーマンや研究者、教員などが当事者として登場しました。
EメールやFAXで6700通を超える投稿があったそうです。当事者の投稿の一部が番組で紹介されましたが、単に「個性」ですませられないケースがあること、かわいそう的な対応には問題があることなど、視聴者が考えを深めるのに役立つ投稿がいくつもありました。
知的障がいをともなう発達障がいは、かなり知られるようになってきました。ところが、知的障がいのない発達障がいはわかりにくく、障がい者支援を続けてきた人達の間でも十分知られていません。
私の周辺でも、知的障がい児の支援を長年続けてきた人が「発達障がいは成長とともに軽くなる」と誤解していたケースがありました。「大人の発達障がい」が広く認知されるようになったのは最近のことです。
理解を深めるために、多くの人に視てもらいたい番組でしたが、心配なこともありました。
脳がつかさどる情報処理能力のばらつきが大きいのが発達障がいです。ばらつきは人によって違いますから、症状も人によって違います。星の数ほどのケースがあるでしょう。
番組で紹介された症状がすべてではありません。まったく違う傾向の人もいますから、この番組だけ視て「これこそ『発達障がい』」とステレオタイプ的な誤解が生じないか心配でした。
しかし、番組終了後に調べてみたら、NHKが「発達障害プロジェクト」に1年かけて取り組んでいく予定であることを知りました。様々なケースが紹介され、当事者の生の姿が伝わっていくことを期待しています。
近年の安倍政権賛美のNHKの報道番組にはがっかりさせられることが多いですが、良い番組もあります。現場職員の良識を応援していきたいです。
地球ドラマチック「海辺のフォックスホテル」
5月20日のNHK・Eテレで、地球ドラマチック「海辺のフォックスホテル~ちょっと特別な若者たちの日々~」が放送されました。これも録画で視ました。
上記の「発達障害プロジェクト」には含まれていない番組ですが、プロジェクトを意識してか、発達障がいの若者たちの職業訓練に関するドキュメンタリー番組でした。2015年にイギリスで製作されました。→詳しくは
こちら
ここですべての解説はしませんが、とても参考になる番組でした。接客をともなうサービス業での職業訓練です。習志野市役所の職員研修(特に管理職)でも活用してもらいたい内容でした。
私が特に関心をもったのが、ADHDをもつケイティーへの対応でした。
感情のコントロールがうまくいかず、仕事に集中できないだけでなく、他の研修生への悪影響(攻撃的な態度など)があり、いったんは辞めさせられます。
障がい者であっても、同僚を攻撃するなど問題行動があれば、辞めさせられることはあるでしょう。
ただし、このイギリスのホテルは、クールダウンの期間をおいた後、ケイティーに再挑戦のチャンスを与えました。これこそ「改善可能性の追求」というものではないでしょうか。
翌週日曜日の深夜(5月29日午前0時)に再放送されるので、興味のある方は視てみてください。
※25日に追記しました。