谷岡隆(たにおかたかし) 習志野市議会議員

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PPP(公民連携)による公共施設の老朽化対策をどう考えるか

7月31日、「ゲンロンスクール・藤村龍至『建築2.0 建築からアーキテクチャへ』」へ行きました。今回は、私のほかにも自治体行政に関連する人が参加していたようです。

PFIの学習会でお世話になった永山利和さんが副理事長を務めるNPO法人建設政策研究所関西支所主催で、8月1日~2日に地方議員研修会が開催されます。その講座の一つに藤村龍至さん(設計事務所主宰、東洋大学講師)の「ソーシャルデザインで乗り切るインフラ老朽化」があるのですが、日程調整が厳しくて行けないため、東京都内(ゲンロンスクール)の講座に参加しました。

今回(第3回、最終回)のテーマは「提言編-列島改造論2.0」。実践例として、「鶴ヶ島プロジェクト」が再度紹介されるとともに、「大宮東口プロジェクト」がより詳しく紹介されました。

次に、「鶴ヶ島・未来との対話プロジェクト2013」を紹介。養命酒製造が鶴ヶ島市と計画している地域貢献の集会施設の設計に東洋大学建築学科が協力し、パブリック・ミーティングを重ねてきたものです。

6月26日のブログで「見積額が予算額の約240%まで達した」と書いたのは、こちらのプロジェクトでした。実施設計段階で、トイレを少なくするなど、費用を圧縮するプロセスを「市民参加」で進めたそうです。

そして、今後のとりくみとして「あいちプロジェクト」が紹介され、まとめとして藤村さんの「列島改造論2.0」の「戦略(社会)」と「戦略(建築)」がミクロ・マクロの両面から解説されました。

今回は学問的に考えさせられた講義であり、翌日(8月1日)にかけて頭から離れませんでした。

焦点は、PPP:Public-Private Partnership(「公民連携」と翻訳)による社会資本の老朽化対策について。藤村さんは「列島改造論2.0」の解説で「市民(ソーシャル)」「市民参加」「民間資本(企業)」などの諸概念を使用しましたが、私は強い違和感を覚えました。

「公民連携」を主張する研究者・専門家は、「private=民間」と翻訳します。これに対し、私は「private=私」と翻訳します。まだ浅い理解のなかで言っているに過ぎませんが、私はここに重要な違いがあるのではないかと感じます。

公民連携の研究者(加賀美一彰・東洋大学教授)は、「民間企業は私的目的を追及するけれども、だからこそ-あるメカニズムのもとでは-公的目的に合致する活動を選択することがある」(公民連携の経済理論)と主張します。ここでは、一つの文章でprivateを2通りの日本語で表現しています。このような「メカニズム」が存在するのか疑問ですが、おそらく、「private」もしくは「private enterprise」に関する理解が、私と大きく異なるのだと思います。

ちなみに、藤村さんの「市民(ソーシャル)」「市民参加」「民間資本(企業)」などの使用方法は、経済系の研究者とは異なっているようでした。この点は、公民連携の研究者の間で整理が必要と思いました。

社会科学では異なる概念である「private」と「citizen」「democracy」が、「官から民へ」や「民間活力」の文脈で日本語で語られるとき、「民」という共通の語を入れることで、あたかも関連があるかのように演出されているように思えてなりません。
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いま、東洋大学(公民連携専攻)がPPP研究と実践で重要な役割を果たしているようです。その代表的論者が根本祐二さん(東洋大学教授、東洋大学PPP研究センター長)ですが、一方で社会資本の老朽化問題も先駆的に指摘してきた人でもあります。

根本さんをはじめとする公民連携研究者の提案する老朽化対策は、当然、PPPに基づくものとなります。老朽化対策の必要性や更新投資の重要性では認識が一致していても、PPPで推進するのが適切なのかどうかで、政策的な方向性が大きく変わってきます。習志野市における公共施設再生計画でも、ここが大きな争点になります。

公民連携研究者の特徴は、アベノミクスにみられる公共事業ばらまき(新規投資)は批判しないで、地方自治体にはハードな予算制約を要求するところにあります。このように、自民党政治の枠内で「小さなパイ」を切り分けるような政策提案は行きづまると、私は考えています。私の問題意識をまとめたものとしては、下記のものがあります。

「公共施設再生計画と教育を考えるつどい」に参加して考えたこと(4月28日)

公共施設再生と「国土強靭化」-公共事業ばらまき、利権政治(7月11日)

今日は、藤村さんの講演にはじまり、取り留めのない展開となりましたが、もう一つ余談を。

PPPやPFIについて考えていると、大学・大学院で研究課題の一つであった旧ソ連・東欧諸国における「privatization=私有化」を思い出します。こちらは経済体制論の問題ですから、分野が違うのですが、「privatization」が意味することを理解するうえでは参考になります。今回のことで、久々にJ.サックス氏(Jeffrey Sachs)のことを思い出しました。




ひそかな楽しみ
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ゲンロンスクールの後、ひそかな楽しみとなっているのが「天下一品ラーメン」。会場(ゲンロンカフェ)のビル1階に店舗があり、2回連続で「こってり・大盛」を食べて帰りました。

天下一品の店舗を見つけると、必ずと言ってよいほど寄ってしまいます。昔は京成大久保駅北側にも店舗があったのですが、今はありません。残念なことです。
by takashi_tanioka | 2013-08-01 23:30 | 公共施設再生 | Comments(0)

日本共産党市議としての活動日誌をメインに、日々の思い、家族のこと、研究活動などをご紹介します。


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