2013年 11月 26日
苦しまぎれの対策案-谷津小学校などのパンク問題
谷津小学校などのパンク対策の説明会が11月26日から始まりました。26日の説明会に、市川寿子議員といっしょに参加しました。
教育委員会事務局が説明。市長部局から異動した事務職員ばかりで、教育内容・環境に関する専門的な回答は期待できません。教員出身の教育長や学校教育部長は逃げてしまったようです。このほか、都市整備部、こども部の職員も同席していました。
対策案は「仲よし幼稚園跡地活用事業750世帯を除き、通学区域の変更は行わない」とする2案。1年後の市長選挙を見すえ、宮本泰介市長の苦しまぎれの対策案とみえます。市役所HPに説明資料がアップされています。
JR津田沼駅南口特定土地区画整理事業の進展に伴う児童増加への対応について(市役所HP)
「通学区域の変更は行わない」としたのは、9月上旬~11月中旬に実施されたアンケート結果で、「学区変更はしないほうが良い」が40.5%、「高学年分離をするよりは良い」が22.8%、「谷津幼稚園を移転するよりは良い」が2.1%、「学区変更したほうが良い」が24.9%となったのを理由としているようです。
(案1)56学級の規模による学校運営と施設の更新
(案2)高学年分離による学校運営と施設の更新
「学区変更なし」を優先的に考えている住民には一定の評価をされる対策案かもしれませんが、子ども達の教育環境を考えると問題のある対策案です。今日の段階では、次の問題があると、私は考えています。
1.36~56学級の小学校で良いのか。
「案2よりは案1の方が良いでしょう?」と市当局は誘導したいのでしょうが、案1の56学級の小学校は、習志野市では前代未聞の大規模つめ込みとなります。
また、全面改築後の新築校舎は36学級を予定。これでも大規模つめ込みです。学童保育の増加にも対応しなければなりませんし、課外活動(クラブ活動など)にも多大な影響が出ます。
学校給食は、従来の自校方式では対応できなくなるので、「学校給食センター校方式への転換検討」とされています。
学校教育法施行規則の41条は、「小学校の学級数は、12学級以上18学級以下を標準とする」としています。
習志野市の学校施設再生計画策定に関する提言書は、袖ケ浦・秋津・香澄地域の小中学校統廃合を提唱していますが、それでも学校規模を「24学級」までとしています。
「昔は60学級の小学校もあった」と言う高齢者もいますが、それで教育環境が良かったわけではありません。説明会場でも、子育て世代からは批判の声がありました。
また、区画整理区域内の生産緑地・集合農地の宅地転用が進むなか、当初の事業計画の7千人で納まるのか、児童数がさらに増加するのではないかなど、さらなる検証も必要です。
2.近隣公園のグラウンド利用、プール廃止に問題はないのか。
案1は、「谷津近隣公園の一部をグラウンドとして借用」「プールの廃止検討」としています。
私は「56学級の体育の授業時間は年間何時間か。公園借用ですべて対応できるのか」「放課後や土日のクラブ活動で近隣公園は利用できるのか」「56学級のプール授業を受け入れる民間施設はあるのか」など質問。市川議員は「学童保育の児童の運動(公園利用)」について質問しました。
市担当者は「現在でもグラウンドを3クラスで分けて使用する時間帯がある」「移動時間や安全に課題はある」といったことを説明しましたが、公園借用・プール廃止の具体像は明らかにされませんでした。「決めてから考える」という無責任状態です。
保護者からは、「業間休みをどうするのか」「運動会が困難になる」といった意見が出ました。谷津近隣公園の実施設計図を転載します。
3.仲よし幼稚園跡地750世帯の通学区だけ別扱いで良いのか。
既存の谷津小学校区の保護者・住民は、「仲よし幼稚園跡地活用事業750世帯を除く」は当然と考えるでしょう。
しかし、その750世帯の子ども達の環境・安全を考えると、宮本泰介市長や教育委員会の判断は無責任としか言いようがありません。
私は「仲よし幼稚園跡地の学区はどこになるのか」と質問。市担当者は「向山小学校を考えている」「踏切を通らない通学路にする」と説明しました。
向山小学校自体は教育環境の良い学校と思います。しかし、子ども目線で考えれば、マンションを一歩出ると、近所の子ども達が自分達と違う小学校に通っているのを目にするのは、違和感をもつのではないでしょうか。また、踏切を渡らない通学路にしたとしても、危険性は残ります。
説明会は12月15日まで続きます。今回の対策案を保護者・住民がどのように評価するのか、私も慎重に意見を聴いていきたいと思います。また、子どもの目線で教育環境を考えていきたいです。
いずれにしても、矛盾を押しつけられているのは、入居者や周辺住民です。JR津田沼駅南口開発の開発業者、荒木前市長・宮本市長、そして無謀な開発計画を追認してきた人たち(賛成議員を含む)の責任は重大です。仲よし幼稚園跡地(市有地)の売却で愚策を引き継ぐことも許されません。
なぜこれまで市議会では学校の適正規模の議論がされてこなかったのでしょうか?
56学級はいざ知らず、少なくとも過大規模校になる事は分かっていたじゃないですか。なぜ問題にしなかったのですか?その事を放置した市議会の責任は大きいと思います。
そして現在、地域町会が学区変更するなと要望するで地元議員は仮設校舎を建てて対応しろとおっしゃる。無責任な話です。
学校教育法等では12~18ですが、地域で検討して良いとなってます。谷岡さんが考える適正規模は何学級ですか?
「多くの市議会議員が~予想できただろうとおっしゃる」について、計画関連の議案に賛成しながら、そのように言う議員はいますが、会議録をみる限り2~3名程度。多くの議員はダンマリです。
学校・保育所の対応は、計画人口が発表された2005年から議会で問題になっています。ただし、指摘した議員・会派は少数。その後の選挙でも増えませんでした。
多数決で計画が推進されるなか、少数派としての取り組みは悩ましいです。私としては、高層過密・人口密集の計画の見直しを求めつつ、認可保育所の増設を中心に要求。谷津小については、学童保育室の確保、特別教室の普通教室への改装、特別教室棟の増築を計画的に進めることに力を入れました。
31学級は過大規模校です。ただし、一時的な381人増で新設校を要求するかどうかは難しいところだったと思います。いま、私が反省しているのは、向山小への学区変更が容易でないことを軽視したことです。
仲よし幼稚園跡地のマンション開発でも、今後、議会少数派として何ができるのか問われます。開発業者の意向に物言える市長・議会が必要だと思います。