谷岡隆(たにおかたかし) 習志野市議会議員

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カテゴリ:社会科学研究( 41 )

映画「マルクス・エンゲルス」を観ました。岩波ホールでの上映の最終日、駆け込みでした。今後も全国各地で上映されます。

千葉県内では、千葉市中央区のUSシネマ千葉劇場で6月30日から上映予定です。内容については、オフィシャルサイトをご覧ください。

カール・マルクス生誕200年記念の作品ですが、「西欧諸国でマルクスを主人公に描いた初の長編映画であった」(ラウル・ペック監督)というのは意外でした。言われてみれば、マルクスの伝記映画を観るのは初めてです。
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山林で枯れ枝を集めただけで窃盗犯として撲殺・惨殺される場面、communis(ラテン語「共有・共同」)とは正反対の情景から始まり、「万国のプロレタリア(労働者)、団結せよ!」で締めくくられる「共産党宣言(共産主義者の宣言)」をマルクスとエンゲルスが誕生させるまでの話です。

マルクスの伝記は、高校生のときに清水書院の小牧治「マルクス」を読んだのが初めてでした。その後、マルクス自身の著作も読みましたが、活字と挿絵だけでは、19世紀前半の西ヨーロッパをなかなかイメージできないでいました。

映像化されると、当時の労働者や工場労働、都市の状況、若きマルクスらと様々な思想家・活動家の交流と論争など、イメージしやすくなります。どこまでが史実で、どこからがフィクションなのか、よくわからない部分はありますが、興味深い映画でした。

原題は、フランス語で「Le jeune Karl Marx」。ドイツ語では「Der junge Karl Marx」、英語では「The Young Karl Marx」でした。中国語版のタイトルをみると「馬克思 時代青年」でした。

日本語に直訳すると「青年マルクス」といったところでしょうか。どの国のポスターをみてもマルクスが前面に押し出されていました。

ところが、日本の邦題は「マルクス・エンゲルス」。ポスターも、カール・マルクスがフリードリヒ・エンゲルスやイェニー・マルクスと並列的に描かれています。これは、映画を観て納得しました。

社会主義・共産主義の権威となる前の青年期のカール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルス。それに、理知的な貴族出身のイェニ―・マルクス、正義感の強い労働者のメアリー・バーンズが加わり、社会変革をめざす20~30歳代の4人の青年たちが登場します。

そのなかで中心的に描かれているのがカール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスですから、邦題の「マルクス・エンゲルス」の方が内容に合っています。より正確に言えば「青年マルクス・エンゲルス」でしょう。

4人の青年たちが互いに影響を与え合いながら活動していきます。もしマルクスの一生を英雄的に扱っただけの伝記映画なら、つまらない内容になったかも知れません。

ペック監督は「若者のために制作」したと言います。日本の左翼運動で弱まった「若さ」を感じさせる、刺激的で躍動感ある作品です。
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マルクスとエンゲルスを「若き革命家」として描く、この映画の魅力について、4月27日付の「しんぶん赤旗(日刊)」に谷本諭さん(党経済・社会保障政策委員会副責任者)の評論が掲載されていました。→下に転載

私がもう一つの魅力と感じるのが、当時の社会主義・共産主義運動の多様性を描いたところでした。

その一つ目が、社会主義・共産主義運動の国際性(international)を描いたことです。様々な民族に属する思想家・活動家の間で、ドイツ語、フランス語、英語・・・と、複数の言語で議論が交わされます。

19世紀前半は、国民国家が形成されていく時期です。無国籍者となったドイツ人マルクスが、共産主義者同盟のブリュッセル支部(ベルギー)で活動する時期=「共産党宣言」を誕生させる1848年まで映画で描かれます。

その後、国民国家が確立していくと、このような活動スタイルは難しくなります。たとえば、現在の日本共産党の規約の場合、日本国籍を取得しないと入党が認められません。

様々な民族・文化に属する人達が国境に縛られない運動を展開しようとするのは魅力的です。

二つ目が、思想家・活動家の間のリスペクトと論争が共存する場面です。映画の登場人物をみると、最終的には論敵となり決別する人物もいますが、多種多様な人達が交流と激論をへて思想・運動を発展させていく世界は、学ぶものがあると思います。「考えが異なると口もきかない」では、思想・運動は発展しません。

激しい論争で論敵を追い込んでいくマルクスやエンゲルスの姿は魅力的ですが、大衆的に人気があり包含力のある政治家として描かれるプルードンの姿も引き付けられます。大学教育を受けたインテリ青年マルクスに対し、職人出身で人生経験を積んだプルードンには、相応の人間的魅力があったでしょう。

年長のプルードンらを容赦なく論駁するマルクスとエンゲルスに「若さ」を感じます。「民主的な独裁者」と揶揄されることもあるマルクスの政治手法も描かれていました。変革期には、そういうやり方が求められる局面もあると思います。
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青年期のマルクスのスラヴ民族への偏見が垣間見られる場面もありました。もしかしたら、非西欧系の民族(アフリカ系)であるペック監督が意識的に入れたのかも知れません。

マルクス夫妻は完璧な人間ではなく、人間的弱さもあれば、「嫌な奴だ」と感じる場面もあります。養育や家計に悩むカールの姿もあります。いろいろな見方ができる映画です。

いろいろと書き連ねてきましたが、人間くさく、聖人でなければ権威者でもない、青年期のマルクスと仲間たちが、社会の不正と矛盾に怒り、情熱をもって変革しようとする姿は凄いと思いました。

さらに、彼らの凄いところは、その後、青年期を過ぎたとき、「あの頃は若かった」とならず、社会変革を一生の仕事にしたことでしょう。

革命家、そして一人の人間としてのマルクスら青年たちを描いた作品。20~40歳代の人達にお勧めしたい映画です。

4月27日付の「しんぶん赤旗(日刊)」より
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谷本諭さんの論文、特に国民健康保険や介護保険など社会保障制度の問題点と改善策をまとめた「議会と自治体」掲載の論文はいつも参考にさせてもらっています。現実政治の課題解決と、古典の世界の両方に通じた研究者であり、感心します。

by takashi_tanioka | 2018-06-15 23:30 | 社会科学研究 | Comments(0)
29日午後、社会主義理論学会第29回研究集会に参加しました。会場は慶應義塾大学(三田キャンパス)でした。慶應義塾大学では、図書館旧館の改修工事が行なわれていました。
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統一テーマは「サンディカリズムとアナキズム」で、2名の研究者から報告がありました。

佐藤和之さん(佼成学園教職員組合)が「モルドバのサンディカリズム-ソ連邦崩壊後の労働運動」のテーマで、久保隆さん(『アナキズム』編集委員)が「アナキズムという思考に可能性はあるか-権力論をめぐって」のテーマで報告しました。

私は途中参加となり、後半の報告(久保)しか聴くことができませんでした。各氏の報告内容については、社会主義理論学会HPに掲載予定の会報(次号)をご覧ください。

社会主義の場合、私は「思想・運動・体制」の関連のなかで理解しようとします。アナキズムの場合、体制として成立するのか(または成立させようとしているのか)、どうもわかりません。

結局、何をしたいのか・・・。私にとっては難解な報告でした。

久保さんの報告で、アナキズム的な思考の流れのなかで紹介されたシモーヌ・ヴェイユ(哲学者)の言説は興味深かったです。ロシア革命と2つの世界大戦の同時代人による考察です。

忘れないように、シモーヌ・ヴェイユの文章2つを、久保さんの報告資料から転載します。

シモーヌ・ヴェイユ「展望-われわれはプロレタリア革命に向かっているのか」1933年(橋本一明訳『著作集1』)

(略)ロシア革命は勝利を収めたが、ロシア領土を含めて地表のどこにもソヴィエトは存在していない。革命によって成立した体制の役割は、ドイツ情勢の示すごとく、今やプロレタリアの革命闘争の絞殺にある。この体制は資本主義的所有を全的に排除するという点でレーニンの構想した体制に似ているが、他の点ではそれとは正反対だ。言論の自由はなく、ソヴィエト制度の枠内での政党の自由もなく、最高度の献身、教養、批判精神の結集すべき共産党は書記局に握られた行政機関にすぎない。/トロツキーはこの体制を官僚主義的歪曲を伴ってはいるがプロレタリア独裁であり、労働者国家だという。だが労働者が官僚の意のままに動かされる国家を労働者国家と呼ぶのは悪ふざけだ。また歪曲という言葉を労働者国家とは理論的に正反対の国家に適用するのも場ちがいである。この言葉はスターリン体制をロシア革命の病気ないしは異常と言うためのものらしいが、狂った時計は時計の法則の例外ではなく、それ固有の法則に従う別のメカニズムだ、とはデカルトの言葉である。また官僚制がますます強化されているところを見れば、これを一つの過渡期ということもできない。(ママ)

シモーヌ・ヴェイユ「戦争に関する考察」1933年(伊藤晃訳『著作集1』)

革命戦争は革命の墓穴であり、戦争を指導する機構や警察の圧力や特別裁判権や脱走兵の処罰なしに戦争をするすべを兵士自身に、というよりむしろ武器をもった市民に与えない限りはこの事実は動かしがたい。近代史においてこの例外は一度だけ実現した。それはパリ・コミューヌのときのことである。しかしその結果は誰もが知っているとおりであり。戦争にまきこまれた革命は、反革命の血なまぐさい攻撃に屈服するか、それとも軍事的闘争のメカニスムそのものによってそれ自体反革命に変化してしまうか、そのどちらの道を選ぶしかないかに見える。してみると革命の前途はかなり限られたものとなるようである。なぜなら革命は戦争を避けることができるだろうか?そうは言ってもこのわずかの機会に賭けるほかはない。さもなければすべての希望を捨てなければならない。(ママ)

by takashi_tanioka | 2018-04-29 23:40 | 社会科学研究 | Comments(0)
谷津奏の杜公園に「谷津貝塚」の説明看板がやっと設置されました。日本共産党は、谷津貝塚埋蔵文化財発掘調査の本調査、現地見学会の頃から長年要望してきました。
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「市内最古の旧石器時代遺跡」「奈良・平安時代の大集落跡」と記載されています。遺跡(住居跡など)の一部保存も日本共産党は要求していましたが、残念ながら、習志野市と開発事業者はすべて壊してしまいました。
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出土した埋蔵文化財を日常的に見学できる施設は、習志野市にありません。総合教育センターで一部が展示されました。社会教育課職員による発表会が時々行なわれています。



今回の説明看板は、限られた字数・写真数での説明ですが、他地域の文化財の説明看板と比べると詳しく記載されています。貝塚以前の時代、「旧石器時代」の記述もきちんとあります。

戦前の皇国史観のもとでは、存在してはならない時代が「旧石器時代」でした。国定教科書は建国神話から始まっており、神武天皇即位とされる紀元前660年よりも昔の研究は避けられてきました。

戦後の自由な歴史研究により、旧石器時代の研究が大きく前進しました。

説明看板は、谷津奏の杜公園(奏の杜2丁目)の北東側に立っています。機会があったら、ぜひご覧ください。


by takashi_tanioka | 2018-04-06 23:30 | 社会科学研究 | Comments(0)
c0236527_08042679.jpg23日、打ち合わせで党実籾事務所へ。その後、総合教育センターへ向かい、小企画展「どうしてこのカタチ?~モノからわかる奈良・平安時代の谷津貝塚~」をみました。

谷津貝塚の出土品が展示されています。これまでみた小企画展はケース1つ分の展示でしたが、今回は複数のケースで展示がされています。

展示期間
3月16日(金)まで 予定

会場
習志野市総合教育センター 1階ロビー奥
入場無料

開館日・開館時間
平日 午前8時30分~午後5時


土師器、須恵器、灰釉陶器などの展示。
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様々な地域との交流がありました。
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海の道具、紡錘車の部品などの展示。
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打ち欠き・穿孔土器などの展示。
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奥のケースも、谷津貝塚の出土品の展示でした。
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残念なことに、重要な出土品は、流山市、柏市、船橋市の博物館・資料館で展示中です。習志野市民が市内の博物館・資料館でみて学習・研究できないのは、習志野市の教育行政の貧弱な側面を示しています。
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実籾3丁目遺跡の展示もありました。
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総合教育センター、東習志野小学校の南側に、東習志野こども園があります。帰りに寄ってみました。
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24日午前も議会準備。午後は、谷津地域における市政・市議会報告会で講師を務めました。

25日午前は、谷津南保育所父母会の定例会。午後は、習志野市民フォーラムの定例会に久しぶりに参加しました。

by takashi_tanioka | 2018-02-25 23:30 | 社会科学研究 | Comments(0)
3日、東習志野コミュニティセンターで「『習志野俘虜収容所』から見えるわがまち」が開催されました。「習志野俘虜収容所を考える集い」の主催です。

戦前の習志野原は陸軍の演習場であり、明治時代には、演習に来る将兵が宿泊するための廠舎が現在の東習志野にありました。

この施設は、日露戦争におけるロシア兵(約1万5千人)、第一次世界大戦におけるドイツ兵(約1千人)の捕虜収容所として転用されました。


今回の企画は、ドイツ将兵に関する企画でした。会場からあふれる人が集まりました。
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私は少し遅れて到着。会場は一杯で入れず、廊下で講演を聴きました。後半の講演は、習志野市学校給食センター所長の星昌幸さんでした。星さんは、2002年に出版された習志野市教育委員会編「ドイツ兵士の見たニッポン-習志野俘虜収容所1915~1920」(丸善ブックス)の執筆者でした。
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今回の企画は、捕虜収容所で演奏された音楽に関する話や演奏が多かったのが特徴と思いました。ドイツ捕虜は、上中流階級の将校から、下士官・兵卒まで収容されていました。それが様々な文化的交流を生んだのかも知れません。


今回の企画の対象外ですが、日露戦争後のロシア捕虜は下士官・兵卒ばかりでした。そのため、ロシア人以外に、被支配民族であるポーランド人、タタール人、ユダヤ人の兵士も多数収容されていました。

多民族が収容されていた日露戦争後の習志野俘虜収容所も研究対象として興味深いです。2005年には、当時の写真50枚が陸上自衛隊衛生学校で見つかりました。こういった新発見の資料も活かしてもらいたいです。


また、関東大震災のときは、習志野俘虜収容所跡に多数の朝鮮人が収容されました。このとき、習志野でも朝鮮人虐殺が起こりました。


様々な民族が「習志野俘虜収容所」に収容されてきました。ドイツ捕虜との交流だけでなく、他の側面からも「習志野俘虜収容所を考える」研究・企画が大切と思いました。

by takashi_tanioka | 2018-02-03 23:30 | 社会科学研究 | Comments(0)
27日、千葉県北西部地区文化財行政担当者連絡協議会主催の文化財発表会「まちづくりのヒストリア-歩いて、掘って、調べて、わかる」が開催されました。

北西部地区11市で2年ごとに開催されており、今年の会場は流山市生涯学習センターでした。習志野市からも市民や職員が参加していました。私は午後から参加しました。

習志野市の発表は、JR津田沼駅南口の奏の杜地区の「谷津貝塚埋蔵文化財発掘調査」について。2年前とは少し角度を変えた発表でした。


今回のテーマは「奈良・平安時代のムラづくり-谷津貝塚の事例から-」で、習志野市教育委員会の岩田薫さんが発表しました。
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2年前は、様々な鉄製品が出土したことが報告されました。今回は、鍛冶工房が多数発見されたことが報告されました。
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持ち時間の30分では納まらない内容でした。周辺の遺跡との関係も検討されています。習志野市は古代東海道が通っていた場所であり、谷津貝塚は拠点集落の一つと考えられています。
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このような歴史が、習志野市内で知られていないのは残念なことです。谷津貝塚について研究を深め、周辺自治体の遺跡との関係も探求していくのは価値あることと思いました。
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午前は、船橋市、松戸市、八千代市、市川市の報告。午後は、習志野市のほか、流山市、我孫子市、鎌ヶ谷市の報告がありました。古墳づくり、江戸幕府の馬放牧など、興味深い報告でした。
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このほか、子どもが参加できるワークショップも開催されていました。
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習志野市は「公共施設が多い」とか「職員数が多い」とかレッテルを貼られることがありますが、郷土資料館・博物館がないという弱点をもっています。

隣接する自治体で、郷土資料館・博物館がないのは習志野市だけです。残念ながら、この分野では教育長にやる気を感じられません。郷土史の学習・研究ができる施設や専門職員の配置は必要ではないでしょうか。


by takashi_tanioka | 2018-01-27 23:30 | 社会科学研究 | Comments(0)
18日午後、大久保公民館で「ロシア革命100周年記念講演」を開催しました。市民有志による企画であり、党派・学派を超えて40人が参加しました。
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ソ連・ロシア研究者の聽濤弘さん(元参議院議員)が「ロシア革命と現代社会を考える」のテーマで講演をしました。
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講演は、著書「ロシア十月革命とは何だったのか」(本の泉社)に沿った内容に、現代中国、欧米の左翼運動、マルクスとレーニンの著書の現代的意義などを加えた内容でした。
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詳しくは、上記の著書を読んでみてください。印象的だったのが、池田嘉郎さん(東京大学准教授)が「民衆の暴力」として描く1917年の出来事を、聽濤さんは「尽きない民衆のエネルギー」として説明したことでした。

現代日本でも、「民主主義ってなんだ」「これだ!」と叫ばれる国会前などの街頭行動があります。政権側の幹部からは「テロ」「こんな人たち」とレッテルを貼られました。様々な民衆の行動を、「暴力」とみるのか、「エネルギー」とみるのか、議論すると面白いかも知れません。

1917年の「民衆のエネルギー」を前にレーニンやトロツキーが果たした役割が、肯定的に説明されたのは印象的でした。

レーニンの著書「国家と革命」の歴史的位置づけ、キーロフ暗殺と党内民主主義の問題も、興味深かったです。

講演後、多くの質問が出ました。すべて答える時間がとれず、後日に文章での回答としました。感想文もたくさん出ました。どれだけ人が集まるか予想のつかない企画でしたが、多くの人に参加してもらえたのは良かったです。

最後に、聽濤さんがレジュメに書いた「マルクスと現代」の最後の部分を紹介します。

マルクスをよく研究しなければならない。同時にマルクスが考えることが出来なかったことが現代社会には多々ある。社会主義理論も創造的発展を必要とする課題が多々ある。

最後に思想的に負けてはならない。

20世紀-ロシア十月革命の成功、第二次世界戦争でファシズム・軍国主義を打倒、植民地崩壊、先進国での福祉の前進-資本主義の後退。それを新自由主義で巻き返す。ソ連が崩壊。資本主義が息を吹きかえす。「社会体制としては資本主義しかない」というイデオロギー攻勢。これに負けてはならない。これがロシア十月革命100年を迎える精神。

by takashi_tanioka | 2017-11-18 23:40 | 社会科学研究 | Comments(0)
11月7日は、ロシア十月革命から、ちょうど100年目の日となります。市民有志で「ロシア革命100周年記念講演」を企画しています。

ソ連・ロシアの近現代史、社会主義・共産主義の思想・運動・体制に関心のある方を対象にした研究会です。ロシア革命については様々な評価がありますが、社会科学研究の一環として、党派・学派を超えて自由に議論したいと思います。関心のある方は、どうぞご参加ください。
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テーマ:ロシア革命と現代社会を考える

講 師:聽濤弘さん(元参議院議員)

と き:11月18日(土)午後2時~

ところ:大久保公民館 教室C(京成大久保駅から徒歩1分)

資料代:500円

☆チラシより
1917年のロシア十月革命(現行暦では11月7日)から100年。現代資本主義の行き詰まりがみえるなか、社会主義をつくる人類最初の大実験につながるロシア革命の意義は、スターリンの誤り、ソ連崩壊にも関わらず、失われていません。ソ連・ロシア研究者であり、10月に著書「ロシア十月革命とは何だったのか」を出した聽濤弘さんを講師に招き、ロシア革命の歴史的意義と、現代社会の進む方向を考えていきます。

☆聽濤弘さんの主な著書・訳書
「ロシア十月革命とは何だったのか」(本の泉社)
「マルクスならいまの世界をどう論じるか」(かもがわ出版)
「マルクス主義と福祉国家」(大月書店)
「レーニンの再検証-変革者としての真実」(大月書店)
「カール・マルクスの弁明:社会主義の新しい可能性のために」(大月書店)
訳書 レーニン「国家と革命・国家について」「帝国主義論」



ロシア革命に関する11月7日の出来事
by takashi_tanioka | 2017-11-07 23:40 | 社会科学研究 | Comments(0)
c0236527_14203335.jpg15日、ユーラシア研究所第29回総合シンポジウム「さまざまな<ロシア革命>-100年後のいま、ふり返る」に参加しました。

私はユーラシア研究所(旧ソビエト研究所)の会員ではなく、シンポジウム参加は10年ぶりです。比較経済体制学会からの案内(メーリングリスト)で企画を知りました。

研究所長の小森田秋夫さん(神奈川大学)が企画趣旨を説明。その後、3人の研究者から報告があり、塩川伸明さん(元東京大学)がコメントをし、参加者で討論するという流れでした。

報告者のテーマは、池田嘉郎さん(東京大学)が「ロシア革命研究の最先端:各国の歴史家はどう見ているのか」、斎藤治子さん(元帝京大学)が「女性とロシア革命」、麻田雅文さん(岩手大学)が「ロシア革命100周年、シベリア出兵99周年に思う」でした。

私は家庭の都合で、斎藤さんの報告後に退席。麻田さんの報告、塩川さんのコメント、討論を聴くことができませんでした。岩田昌征先生も来ていたので、討論までいられなかったのは残念でした。
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短時間だけでも参加したのは、池田嘉郎さんの報告が目当てでした。岩波新書「ロシア革命-破局の8か月」を読み、極めて強い違和感を覚えたので、直接話を聴きたいと考えていました。

シンポジウムの予習として、岩波書店から今年6月に発売された「ロシア革命とソ連の世紀 第1巻・世界戦争から革命へ」(全5巻)を読んで参加しました。

完読する余裕がなかったので、池田執筆の「総説.ロシア革命とは何だったのか」、A.ニコラ―エフ執筆(池田訳)の「4.二月革命-帝政エリートの反乱」、B.ブルダコーフ執筆(池田他訳)の「5.赤い動乱-十月革命とは何だったのか」、池田執筆の「6.ボリシェヴィキ政権の制度と言説」を優先して読みました。

しかし、シンポジウムの報告は、ロシアにおいて「ロシア革命100年」を機に取り組まれている調査・研究の紹介が中心のあっさりしたものでした。

レジュメでは、第1巻「世界戦争から革命へ」の論文が紹介されていましたが、新書については記載がありませんでした。論争を避けているという印象を受けました。できれば討論でのやりとりも聴きたかったです。

「総論」におけるロシア革命研究の過去から現在までの整理は参考になりますし、池田さんの見解(26~28ページ)も興味深いものがあります。

革命(フランス革命からロシア革命への流れ)を「進歩」と捉えるのではなく、「フランス革命もロシア革命も、人類史の普遍的な歩みという語りから解き放たれて、それぞれの地域の歴史の文脈へと戻っていく」(22ページ)とする部分も、きちんと検討していかなければならないと思います。

従来の「革命の系譜学」と対峙する歴史観が根底にあり、そこから「革命は、進歩ではなく、システムの崩壊」「ロシア革命は、正確には帝政崩壊」という主旨のシンポジウムでの発言、第1巻「世界戦争から革命へ」での記述へつながっていく訳です。

第1巻における池田さんなどの著作は、ロシア・ソ連史研究のテキストの一つとして重視して読んでいく必要があると感じました。

しかし、その一方で、学術書として禁欲的に書かれている第1巻の論文と比べ、池田さんの政治的な嗜好が露骨にあらわれる岩波新書の非学問的な叙述には大きな問題があると、私は現在も考えています。

岩波新書の方は、章・節によって論調が変化したり、印象操作を感じさせる記述が少なくなかったりです。私は、以前は「感情的」と書きましたが、第1巻の読了後の今は、一定の政治的な意図をもって書いているのではないかという感想をもっています。

また、この新書を「手頃な入門書」とヨイショする書評があるのも考え物です。それについては、またあらためて論じたいと思います。

by takashi_tanioka | 2017-07-15 23:30 | 社会科学研究 | Comments(0)
c0236527_21135510.jpg25日午後、社会主義理論学会第74回研究会に参加しました。統一テーマはなく、2名の研究者から報告がありました。

鎌倉孝夫さん(埼玉大学名誉教授)が「朝鮮脅威論を糺す-朝鮮民主主義人民共和国がめざすのは」のテーマで報告。鎌倉さんは、マルクス経済学(宇野学派)の研究者ですが、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の研究もしています。「トランプ・安倍政権で進む戦争の危機」の副題での報告でした。

異常に煽られる朝鮮脅威論の問題と、トランプ・安倍政権の軍事的圧力の問題などは理解できます。その背景にある「階級対立の隠蔽=本来の”敵”を見えなくさせる」「自国労働者内対立をあおる いじめ構造」「外国人労働者が労働者の敵」「社会排外主義-朝鮮人敵視」という構図のもと、「朝鮮脅威論は、経済的に国民統合の矛盾が露呈してきた中での国民統合策、戦争への国民動員策」という指摘も基本的に正しいと考えます。

しかし、北朝鮮の現政権を賛美しすぎていると思えたので、①被団協・原水協・原水禁など反核平和運動では「自衛のための核兵器保有」という論理を認めていない、②最高権力者の世襲をどうみるか=社会主義とは言えない、③スターリン時代のソ連でも「民主主義」「平和」などの文言は多用されており、北朝鮮政府や労働党のきれいな言葉を評価できるのか、の3点を質問しました。

私のほかにも、現在の北朝鮮政府は「戦前の天皇制国家のようだ」「アジア的専制ではないか」との質問が出ましたが、鎌倉さんの回答は現政権に肯定的なものでした。

「北朝鮮悪玉論」「悪の帝国」のようなアメリカ側を正当化するような描き方は誤っていますが、逆に北朝鮮政府を美化するような論じ方にも疑問をもちました。

境毅さん(ルネサンス研究所研究員)は「負債経済論」のテーマで報告。マウリツィオ・ラッツァラート著「〈借金人間〉製造工場-”負債”の政治経済学」と、デヴィット・グレーバー著「負債論-貨幣と暴力の5000年」に触発されての研究でした。マルクス経済学研究者などから批判的な質問が出されていました。

両氏の報告内容については、社会主義理論学会HP に掲載予定の会報(次号)をご覧ください。

by takashi_tanioka | 2017-06-25 23:30 | 社会科学研究 | Comments(0)

日本共産党市議としての活動日誌をメインに、日々の思い、家族のこと、研究活動などをご紹介します。


by takashi_tanioka